合同誌『ALL WEAPONS FREE!!』より再録
文:クレナイネイコ

   戯れにタジミハ



「違うぞ、もっと肩を引くんだ!」
「うん。ど、どうかな」
「オッケーばっちり!」
「あ、ありがと」


 あれらを見ていると何かを思い出す・・・。


 あれら、の下に矢印を引いて田島と三橋を置くと泉の視界になる。同じクラスの野球部員、小さい身体で大きな四番の田島、およびエース三橋。
 さきほどから三橋は、何やら汚い角材の上でワインドアップの練習をしている。最近よく見る光景だ。
 それを、投手でも無い田島があれこれアドバイス。投手本人はありがたがってそれを受け入れている。
 あにおとうとに見えるんかな。泉は首をひねった。田島は末っ子だから三橋に兄のように振舞えるのが嬉しいらしいのは解かる。
 だが・・・そういう簡単な比喩とはちょっとズレているような・・・。
「で 出来た」
 今までの中では一番きれいに型が決まって、ウヘ、と三橋が相好を崩した。
「おお!出来た出来たスゲエぞ」
「んん、ん。田島くんの、おかげだよー。田島くんもス、スゴイ」
「スゴイな俺ら!」
「う、うん」
 笑いあう二人・・・。
 その、ほのぼのとしか云いようのないやりとりは一年九組に独特の脱力感をもたらしているわけで。
 他のクラスに比べたら、きっとここの空気は長閑だ、と泉は確信している。さながらお昼寝タイムの幼稚園・・・デパートのお子様コーナー・・・動物園の触れ合い広場、あの小動物に触れるやつ・・・。
「ああ!」
「ん?」
「えっ」
 声を上げた泉に不思議そうに(三橋はビクつき)二人が目を向ける。
「何だ?」
「ど。どうしたの泉くん・・・」
「いや何でもない。ワルイな、こっちのこと」
 愛想よく手を振る泉はじっさい疑問が解けて晴れやかな顔だった。
 ペットと家族のニューフェイス。これだ。
 犬は家族内で順序を付けるっていう。
 新しく我が家にやって来た赤ん坊に興味津々、嗅ぎ回ったり。
 だが厳然たる序列のもと、お兄ちゃんぶって幼児の面倒を見る。(つもりで何だか構っている。)
 それだそれ。
 判明すればいっそうほのぼのと。


 脱力ムードの教室で、くつろぐ泉なのだった。



・・・タジミハ?(笑)

クレナイネイコ
たけばやシェスタ
(REBORN!!)